マーケティングだけでは足りない!お客様の声を活かしたエンゲージメントの高め方とは?

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10月13日に開催した「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017」のセッションの中から、株式会社お金のデザイン カスタマー エクスペリエンス デザイナーの森山 裕之氏による「THEOの成長を支えた CX と MA の最適Mixによるエンゲージメント構築の実践」の模様をお届けします。マーケティングとは異なるカスタマーエクスペリエンス(CX)の視点から、森山氏はどのようにお客様との接点を描きながら、Marketoを活用されているのでしょうか。事例とともに、詳しくご紹介します。

 

顧客接点の全体最適を図るCXの仕事

同社は3年前に創業したフィンテックベンチャーです。“One life, Enjoy the quest of realizing yourself”をビジョンに掲げ、お金の心配をすることなく、一度きりの人生を自分らしく生きられる社会の実現を目指していると言います。その思いは、ロボアドバイザー「THEO(テオ)」の名前にも込められています。THEOとは画家ゴッホを金銭的に支えた弟の名前。「ゴッホは生前、1枚しか絵が売れなかったと言いますが、それでも絵を描いて自分らしく生きられたのは、商才のあったTHEOのおかげです。私どもは、お客様にとってのTHEOになりたい。お金の心配をなくして、お客様が自由に生きられるようにしたいのです」(森山氏)

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THEOはPCやスマホで行うユーザー診断に基づき、自動で資産運用を行えるサービスです。お客様自身で銘柄を選んだり売買をしたりする運用の手間を省くことができるため、20〜30代の投資未経験の方に人気のサービスとなっているのだとか。すでに無料診断の体験者は30万人を超え、THEOで実際に資産運用をしている方も1万人を超えているそうです。

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次に森山氏は、同社で担当するカスタマー エクスペリエンス デザイナーという仕事について説明をします。「この肩書きは、あまり聞き慣れないと思いますが、いわゆるマーケターの仕事とは少し異なります。私のミッションは“顧客志向&顧客思考でサービスの仕組み・組織・文化を最適化すること”であり、カスタマーサポートだけでなく、マーケティング施策や製品そのもの、あるいはWebサイトのUIに至るまで、様々なお客様との接点の全体最適化を担っています。お客様にとっては、企業のどこの部署が対応しているのかなんて、知った問題ではありません。すべての接点が、お客様にとってその企業との体験です。そのため、部署ごとにちぐはぐなメッセージを送るようなことがないようにしなければなりません。お客様を理解して、サービスを最適化していく姿勢を、企業の文化にしていきたいと考えています」。

 

お金のデザイン流、エンゲージメントサイクルの回し方

同社のエンゲージメントに対する考え方は、以下の3つ。これを順番に実現していくことで、最終的には資産運用だけでなく、お客様を応援するクラウドファンディングのような新しいサービスの提供にも臨んでいきたいと森山氏は語ります。

1.顧客を理解し、THEOを理解していただく。

2.顧客とTHEOとのよりよい関係性を構築する。

3.人とお金の新しい関係、価値を共に創る。

そしてマルケトでも提唱している“Listen(データ収集)・Learn(顧客体験の設計)・Inspire(気づきを与える)”のサイクルは、同社でも同様に考えていると話し、次のスライドを示した森山氏。

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「まずはListenで、お客様のことを十分に理解しようと。Webの行動属性や行動特性をはじめとする一般的なデータだけでなく、カスタマーサポートに入ってくるお客様の声や顧客調査、イベントやセミナーといったミートアップで得られるお客様の声に耳を傾けます。次に、それらのデータをもとに、顧客とTHEOの関係について仮説を立てるLearnを行います。カスタマーサポートに集まってくる定性的な情報と、マーケティングで得られるデータの両方を見て、最終的にお客様に何を届けたらいいのかを考え、コンテンツとその届け方を設計・実装することでInspireする。このサイクルを大切にしています」。

さらに、それぞれのフェーズにおける注意点が紹介されました。

 

<Listen:顧客の声を聴けている?>

「一般的に、顧客調査や定性調査(FGI)といった形でデータを集めることが多いと思います。もちろん、それはそれで非常に重要なことです。ただ、私はカスタマーサポートを実際にやっており、毎日電話でお客様と直接会話をできるように心がけています。『Webサイトのこの文字が見づらい』といったご指摘も本当に価値あるデータだと思っていますので、カスタマーサポートに入ってくる具体的なお客様の声もListenに取り入れていきたいと思っています」。

 

<Learn:定性と定量に基づいてる? 多数意見/少数意見に偏ってない?>

「一方で、カスタマーサポートに入ってくるお客様の声は、全体の5%であるため、もしかしたらマイナーな意見かもしれません。これにマーケティングで得られる全体観を表すデータをバランスよく掛け合わせることが大切だと思っています。どちらが大事という話ではなく、どちらも大事。バランスのとれた仮説の立て方になっているかを重視しています」。

 

<Inspire:Personalize × Timely × Scalable>

「お客様の状況や感情を理解して、それに共感したようなコンテンツをベストなタイミングで届けたい。しかし、それを一人ひとりに手作業で行うのは手間がかかりすぎますので、Marketoを使って100万人に届けたいと考えています」。

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「今回、私が強調してみなさんにお伝えしたいのが、昨年放送されていた大河ドラマ『真田丸』の一節です」と話す森山氏は、真田 幸村の父、真田 昌幸の最期の言葉を紹介しました。

“軍勢を一つの塊と思うな。一人ひとりが生きている。一人ひとりが思いを持っている。それを、ゆめゆめ忘れるな”

「戦上手な武将として有名な昌幸が息子に託した戦の極意は、CXにおいても同じことが言えるのではないかと思うのです。マーケティングの視点は、いわゆる鷹の目です。高いところから全体を鳥瞰するイメージで、多くの人に届きやすいキャッチーな言葉を選ぶ。一方、カスタマーサポートは、日々お客様一人ひとりと向き合っているため、個々の感情を捉えやすい分、全体観がないという欠点があります。カスタマーサポートに集まるお客様の声を十分に受け止めた上で、マーケティングでどう全体に響かせるのか。そのカギを握るのがマーケティングオートメーション(MA)です」と語る森山氏は、マーケティングだけではなく、カスタマーサポートのような個々を見ている部門と一緒に、MAを活用する意義を説きました。

 

MA導入によって見える成果を手にするには?

同社がMAを導入したのは、2015年12月。そこからMarketoにリプレイスされたのが2016年9月のことでした。当時の課題は、申し込みから運用開始までの間に数度訪れる“離脱ポイント”を回避し、コンバージョンを向上させることだったと語る森山氏。現在は9万人のお客様に対して44パターンのメールを用意し、本サミットの直近1カ月の間には27万通のメールを配信したと言います。「Marketoを使っているのは、私とコンテンツを作るマーケティングのメンバーの2人です。両者ともMarketo専属スタッフではありません。Marketoにかけている工数は、それぞれ0.2FTE(フルタイム当量)くらいです」

Marketo導入後の成果としては、2週間後のコンバージョン率を示すShort-term CVRが70%アップ、30日後のコンバージョン率を示すMid-term CVRが22%アップしたと話す森山氏。さらに顕著な効果が見えた例を紹介してくれました。「昨年末にテレビでTHEOが取り上げられた際、通常の約13倍のお申込みが殺到し、加えて年末年始で営業日も少なかったこともあり、なかなか対応できずにお待たせしてしまう状況が発生しました」と言い、次のグラフを提示します。

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「これはそのときのCVRの推移です。青色のShort-term CVRは一時的にガクンと下がったのですが、Long-term CVRは高水準を維持できていた、つまり長期的には他の週と変わらないところまで持って行けたことがお分かりになると思います。このときに何をしたかというと、MAで自動化することで、スケールしながら、個々のお客様に合わせた適切なメッセージを届けることができたのです」(森山氏)

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さらにMarketo導入後の成果として、Weekly Newsletterを届けることにより、解約率が42%ダウンした、と森山氏は続けます。「Marketoのスコアリング機能を使って、『どれだけのユーザーにちゃんとメールを読んでいただいているのか』『Webを見ていただけているのか』といったアクションから、タッチポイントの総量をスコアで可視化することにより、適正なコミュニケーションの量や質を模索しながら、お客様との関係性が薄れていくことを避けられた結果だと考えています」。

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最後に、森山氏は「私どもが行っている一つひとつの施策は、まず『どんなデータを集め、どんな声を聴けば、検証ができるようになるか、施策が作れるようになるか』というところからスタートします。それらのデータを集めてしっかり分析し、お客様の心の動きや行動の変化について、仮説を立てていきます。それを施策として設計し、MAに実装する。施策を打ったら、それがちゃんとお客様に響いたのか、データで確認しながら、自分の体感値として蓄積することを、日々心がけています。要は、CX部門とマーケティング部門が持つデータをうまくミックスしながら、Listen・Learn・Inspireのサイクルをクイックに回しましょうね、という話ですね。もし、いずれかのデータが組み込まれていないなら、それを取り入れることで、全体を俯瞰しただけでは見えなかったつまずきが見えてくるのではないでしょうか」と語り、プレゼンテーションを締めくくりました。

本セッションの講演資料はこちらからダウンロードいただけます。講演動画もございますので、ぜひご覧ください。

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ShimizuMari

マルケトでマーケティングを担当している清水真理です。

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